司法書士の徒然草

愛知県地方在住。司法書士のこととか。いとう司法書士事務所(http://www.itou-legal.com/)

司法書士が会社設立freeeをやってみた

昨日は、東京に行って、今日の朝に深夜バスでとんぼ返りしてきました。眠いです。
そんな中、バスの中で、こんなニュースを発見。

「会社設立 freee」は全自動で会社設立に必要な書類をすべて出力できる無料ツール
http://jp.techcrunch.com/2015/06/23/jp20150623freee/

話題のfreeeのニュースでした。

僕も以前、会計をクラウド化してみようかなぁと思って、freeeのアカウントを作ったのですが、口座情報など相当な個人情報を入力しなければいけないのと、思った程、便利でもなかったので、いつも使っている会計ソフトに戻っちゃいました。たったの3日で(笑)

しかし、会社設立を…なに、5分で書類が準備できるなんで、司法書士にとって相当な脅威ですし、「電子認証はどうしてんねん!?」*1なんて興味があったので、ちょっと使ってみました。


確かに便利で早い

やってみると、確かに、超便利です。
定款作成に重要な項目がさくさく入力できます。むむむ。
項目を入力すると定款がPDFで出来上がります。確かにちゃんと出来てる…。これは恐ろしい。

電子定款は?

そのまま手続きを進めて行くと、定款は電子定款とするか紙定款とするか、選択するところが出てきます。「さあて、どうするのかなぁ」と思いよく説明文を読んでみると、電子定款は司法書士に依頼するとあるではないですか。

考えてみりゃ、そりゃそうですね。普通の一般市民が電子定款の環境を整えるのは到底無理です。会社設立の登記よりも労力がいります。

司法書士へ依頼する料金が5,000円だそうです。安い。
「こんな安くやって司法書士の仕事を減らすなんて、まったく…」
とも思いますが、安く会社設立ができることは、市民にとっては良い事ではあるのは仕様がありません。

しかし、この依頼を受ける司法書士は、いくらお客さんがWEB上で自分で操作したとはいえ、住所は正しいのか、名前の漢字は間違っていないか、などきちんと確認しないといけないでしょうね。その手間があって5,000円なのですから、司法書士さんは大変です。

だが、定款をよく見ると

デメリットとしては、類似商号の調査は出来ないし、定款に柔軟性がないところですかね。
普通決議の規定は、公証役場の記載例をそのまま持って来ているので、定足数を排除しています。

なんで、みんな定足数を排除したがるんでしょうね。株主が複数いるときには、私は定足数は排除しない方がいいと思うんですけどね…。

あと、一定の条件で、定款に不具合が生じますね。ここでは詳しい事は書きませんが、これ公証役場に出したら指摘を受けるんじゃないですかね。これは監修している人のミスと思われます。

あと、ハンコ代高いよ

ハンコドットコムと提携しているため、会社実印も同時に頼むことができます。
が、薩摩本柘が15,900円。ちょっと高い気がします。安いところだと3点セットで7,000円程なんですがね。

平成26年改正にも対応

最近改正された、監査役の監査の範囲はきちんと登記事項になってます。本人確認証明書も添付書類になってますね。といっても全員印鑑証明書を要求されますけど、難しいことを考えるくらいなら、全員印鑑証明書を添付した方が安全です。

結び

と、まあ、やっかみ半分で書いてみました。
といっても、ありがたい事に、私のところには普通に会社設立の相談が来てますので、私のところに相談に来たお客さんには喜んでもらえるよう、より一層頑張ってサービスして行くことは変わりありません。

しかし、便利な世の中になりましたねぇ。

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*1:定款を電子認証で作成すると4万円安くなります。現在会社設立では定款は全部電子定款として作成するのがほとんどですが、その環境を整えるのがめんどくさい。