先日、商業登記の依頼を受けた際、「定款変更も検討しますので、定款の規定でどこか気になるところはありませんか?」というご依頼も頂いた。所謂、定款の見直しというものです。
商業登記のご相談をもらう時には、まず定款を確認させて頂いています。あまりに気になることころ、このまま放置すると不利益が及ぶところは提案させて頂くが、「あえてこういう規定を置いているのかなぁ」と思うところもあるので、その辺はバランスを取って進言しています。
さて、今回、定款を見てみると、公証人連合会HPにある定款記載例をそのまま使っている定款でした。
定款の作成者は「公証役場に書かれているから、間違いはないだろう」と思ってコピー&ペーストしている可能性が高いが、私の個人的な考えでは、会社の事情に沿った記載例ではないので、そのまま使わない方がいいと思うし、私は使っていません。
まず、そもそもHPにある記載例では、普通決議の定足数が排除されているし、取締役の選任の決議は定足数が軽減されています。
株主が1人なら特段問題はないけれど、中小企業で株主が複数になる場合、決議が簡単に成立しやすくなり、株主間で対立が起こっている場合は、ちょっと危ないと思うんですよ。
あと、取締役会非設置会社の代表取締役の選定方法が、取締役の互選になっていいます。これでは、代表取締役の変更登記の際に、定款を添付しないといけなくなり手間が増えます。
今回見直しさせてもらった定款も、そんな定款でした。
最近は、会社設立の費用はものすごく低額になっています。安さを求めるのは悪くないですが、そのようなところは大体、設立する会社の実情もあまり聴取することなく、定款を作成しています。株主間で対立が起こってからでは定款変更をすることはかなり難しくなりますので(基本的には、議決権の3分の2です)、会社が平穏なうちに、一度司法書士さんに定款を見直してもらってはいかがでしょうか?
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