先日、休眠担保権抹消の相談において、抵当権の登記記録の中から見たこともない文言が飛び込んできました。
「平成●年●月●日附金銭消費貸借契約同日設定(都市再開発法による権利変換)」
早速、書籍を購入して勉強。
- 作者: 細田進,島野哲郎
- 出版社/メーカー: 日本加除出版
- 発売日: 2013/11/01
- メディア: 単行本
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権利変換とは、第一種市街地再開発事業において、事業実施前の土地又は建物に登記してあった所有権等の権利を、事業の契約に基づいて一定の期日を定めて整備後の区分建物に移行する制度だそうです。
つまり、こういうこと。
今日は、その権利変換で困ったことについて書いていこうかと思います。
さてさて、書籍を読んで、「へ〜、こんな制度があるんやねぇ、でも今回は公示送達を申立てた抵当権抹消訴訟だから関係ないもんねぇ…」なんて思っておりました。抵当権を抹消するにあたっては、現在の不動産に抵当権が設定されているわけですから・・・。
ところが、抵当権抹消訴訟の準備を進めていくうちに、権利変換前の不動産の登記簿謄本を証拠として提出しないといけなくなりました。
かなり専門的な話ですが、抵当権抹消訴訟を物権的請求として提起する場合は、権利変換前の不動産については気にする必要はなく、今ある不動産の登記事項証明書を証拠書類として提出すれば勝訴判決を得られると思います。しかし、その場合は、登記原因が判決正本に記載されず、「年月日判決」を登記原因として抹消することになります。最悪の場合、それでもいいのですが、「年月日判決」では物権変動を忠実に反映できていませんので、司法書士の立場としては、「年月日時効消滅」として申請したいところです。
そうなると、弁済期をこちらが立証しないといけません。抵当権は60年ほど前のもので、お客様のもとには契約書なんてありません。
契約書がなければ、古い登記簿謄本です。古い登記簿には、弁済期が登記記録に記載されているので、それを証拠することができます。
すると、今回は、権利変換が問題になってきます。権利変換前と権利変換後の不動産が繋がっていることを証明しなければなりません。
しかし、それが困ったことに、それを証明する公的な書類が見つからないのです。
開発組合は当に解散しているし、連絡先もわからない。
法務局の相談カウンターに行っても、そういった証明書はしらない、とのことでした。
「こりゃ、年月日判決で抹消するしかないかぁ」
しかし、相談員の方から希望の光が。登記申請書附属書類を閲覧すれば、登記原因証明情報に、繋がりを記載して書面があるかもしれない、とのこと。
なるほど!確かに権利変換による抵当権設定には、権利変換計画書を添付すると書籍には書いてありました。
早速、お客さんから登記申請附属書類閲覧の委任状をもらって、法務局へ。閲覧ルームに行くと、もの凄く厚い申請書がありました。権利変換の申請書です。
一棟丸々登記申請しているため、キングファイルの添付書類になっているわけです。
格闘すること数十分。有りましたよ!繋がりがわかる権利変換計画書が!
それを写真撮影して、裁判所に証拠として提出することができました。
苦労の甲斐あって、先日、年月日消滅時効とできる判決正本が届きました。
いやー、よかったー。
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