司法書士の徒然草

愛知県地方在住。司法書士のこととか。いとう司法書士事務所(http://www.itou-legal.com/)

不動産登記記述式36問の事業用借地権

昨日は司法書士試験本試験でした。
受験生の皆さん、お疲れ様でした。

私も、本試験の問題を見て、不動産登記の記述式を解いてみたんですが・・・

はっきり言って、難しい…


これ、私が受験時代なら解けていたかどうか。それどころか、実務でこのような事例に出くわしたとき、ちゃんと登記申請ができるかどうか…。

元本確定登記の可否や名変の可否など、いろいろと論点はありますが、私も訳が分からなくて、ここでは書ききれないので、今日は論点を1つだけ書いてみようかと思います。


それは、事業用借地権について。

甲土地の所有権がA株式会社・B ⇒ D株式会社へと移転した後、A株式会社・BとC・D株式会社が締結した事業用借地権の設定契約公正証書を登記原因証明情報とする用益権の設定登記ができるかどうか、という問題が出ました。

第1感は、登記義務者となるD株式会社が、登記原因証明情報上に記載されていないので、出来ないんじゃないか、と浮かぶかと思います。

答えは「登記ができる」となります。

これは、平成17年に出された先例があるんですね。


※ちなみに、この先例当時は、事業用借地権は24条に規定されてました。

借地借家法23条3項の規定により公正証書によって同上1項又は2項に規定する借地権を設定する契約がされたが、その旨の登記がされないまま土地の所有権の移転の登記がされている場合において、同契約に基づく賃借権の設定登記について、賃借権者を登記権利者、土地の所有者の登記名義人を登記義務者とし、前所有者との間における契約の日を登記原因の日付とする賃借権の設定の登記は、受理して差支えない。平成17.7.28第1690号


一方では、新しい所有権者との間で新しい設定契約をすべきとの見解もあるんですが、事業用定期借地権は10年以上50年未満という要件があり、今回の事例では、平成35年1月31日までの存続期間のある借地権となっているところ、平成26年6月30日から残存期間で契約できるとすると、事業用定期借地権の要件から外れてしまします。それに、せっかく借地借家方では公正証書を作成することを要求しているのに、新しく契約し直さなければならないとすると、公正証書は何のためなんだということになります。

ということで、登記が認められているらしいです。

いやー、こんな先例、正直知りませんでした・・・。


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