今月も月報司法書士が送られてきましたので、毎度恒例のの懲戒事例を見ていました。
ここにある事例を定期的に確認しておくことによって、自分の業務姿勢についても見直すきっかけになります。
さて気になった事例としては2つ
テレビ電話による本人確認
不動産の登記手続きにおいて、権利書(登記識別情報)の添付は欠かせないのですが、何らかの理由によって添付できない時は、司法書士が本人であるかどうかをよくよく確認して、本人確認情報の作成に変えることがよくあります。
その際、本人には面談して、運転免許証などを確認し、いろいろと聞き取りをするのですが、その面談が「テレビ電話」だったという事例で、懲戒になっていました。
「え?ダメなの?」
そう考えるのも自然ではありますが、本人確認情報を作成するうえで必要な「面談」は直接会う面談を意味します。テレビ電話は面談にはならないんですね。これは登記研究には掲載されていました。
売主が海外にいる場合、やむを得ずテレビ電話を利用することもあるかと思いますが、これが「本人確認情報を作成する」場合には、テレビ電話では足りないということです。
名寄帳の閲覧の委任状偽造
もう一つ気になったのは、委任状の偽造の事例です。
月報司法書士に掲載されていた事例は、相続手続きに関して名寄帳を取り寄せた事例のようですが、不動産登記をよく行う司法書士事務所では、昔は、売主が用意する固定資産税評価証明書を、司法書士が委任状を作って取得していたことがあると聞いたことがあります。これは私文書偽造及び行使にあたります。
私も売買による所有権移転登記をお願いされる際、売主が評価証明書を用意していないにも拘わらず、買主から登記費用の見積もりをお願いされることがあります。その場合は当たり前ですが、売主さんに評価証明書を取得してもらうまで待ってもらいますし、売主さんがどうしても動けないなら、売主さんから委任状をキチンと貰って、代わりに取得したります。
確かに、買主さんやその仲介にとっては評価証明書を素早く取得してくれる司法書士さんは有りがたいかと思いますが、私は、あまりにも都合が良くて便利な司法書士にはなりたくないので、この点は、きちんとしていますね。
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以上、最近の懲戒事例でした。そういえば、最近、本屋で司法書士の懲戒事例をまとめた書籍が置かれているのを見かけました。
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