私が会社設立を依頼を受ける会社は、小さい会社で、ほとんど取締役会を置かない会社(取締役会非設置会社)として設立登記をします。
そんな中、以前、会社設立をお手伝いした会社から「代表取締役の交代の手続きをしてほしい」というご依頼を頂きました。すなわち、取締役会を置かない会社において、代表取締役の辞任と選定をする登記手続きというわけです。
代表取締役の変更は、ふつうの感覚だと、旧代表取締役の辞任届、株主総会議事録、新代表取締役の就任承諾書、と。しかし、取締役会非設置会社では、辞任届も就任承諾書も必要ありません。
これは、代表取締役と取締役の地位が一体化しているから、とよく説明されます。
取締役会非設置会社の取締役は、取締役=代表権を有する、という考えです。つまり、取締役A、取締役Bがいたら、二人とも代表取締役なんですね。ここで取締役Aだけを代表取締役をしたいと思ったら、それは「Aを代表取締役に選ぶ」→「Aが承諾する」というのではなく、株主総会決議で「Bの代表権を奪う」という形と考えるわけです。だって、Aにはもともと代表権があるのですから。だからAの就任承諾書は必要ありません。
その後、代表取締役Aが代表取締役を降りたい、と思った時、これも「Aが代表取締役を辞任します」→「辞任の意思表示を受取りました」というのではなく、「Aの代表権を奪う」(Aが平取締役になることを株主総会で承認する)という形と考えます。Aにはもともと代表権があるのですから「代表取締役を辞任する」という形をとれないというわけです。
ということで、代表取締役を取締役Aから取締役Bに交代する場合は、添付書類は株主総会議事録だけになります。
第1号議案 代表取締役辞任の件
議長は、代表取締役Aより代表取締役のみの辞任の申出があったのでこれを承認すべきか一同に諮ったところ、出席株主の全員の一致により、これを承認した。
第2号議案 代表取締役選定の件
議長は、代表取締役選定を付議したところ、全員一致をもって取締役Bを代表取締役に選定した。
このことは、商業登記ハントブックにも記載あり。
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なんでこんな事をブログに書いたかというと、以前、こういったことを自分でブログに書いておきながら、すっかり忘れて、ネットで検索しらた、自分のブログが引っかかり、愕然としたからです。自分のブログで思い出すという・・・。
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