破産開始決定当時の代表者の資格証明書等の交付については、平成21年4月17日の最高裁判例により、従来の扱いが変更され、交付されることになった。
そこで、その会社の支配人についても一緒なのか?と疑問が湧いたので、文献を調べてみたら、そのことに言及した資料があった。
民事月報vol66によると・・・
「民法第653条の関係では、受任者破産による委任の終了は信頼関係の破壊に基づくが、委任者破産による委任終了の立法趣旨はこれとは異なり、委任者が破産の結果自らすることができなくなった行為は受任者もまたこれをすることができないため、委任は目的を達し得ず終了するものであり、そうであれば、会社破産の場合に破産者たる会社自身がすることができる事項については委任はなお終了しないと解すべき」だそうだ。
とすると、会社は破産によって破産財団の財産管理処分権が破産管財人に専属してしまうが、仮に、財産管理処分権以外の事項(会社の組織行為など)などの代理権が、代表者とおなじく支配人にあれば、委任は終了しないという結論になる。
しかし、「支配人等はもともと営業単位若しくは本店又は支店単位で選任されるものであり、会社その他の法人の機関ではないことからすると、支配人等は、財産の管理処分と無関係な事項に関する代理権、つまり会社その他の法人の組織に行為の代理権は有しないと考えられる。
したがって、破産手続開始の決定の当時の支配人等の代理権は、破産手続開始の決定により、消滅すると考えられる(民法第653条2項)。
したがって、破産手続開始決定の当時の支配人等に係る印鑑の証明書は、従前のとおり、交付しないものとするのが相当である」
なるほど、代理権の範囲の違いから結論がことなるようだ。
ふー勉強になった。
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