あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
ただいま、会計帳簿と付けております。いや正確にはまだ付けてなくて、つける準備をしています。確定申告の準備ですが、腰が重くなってます。さて、新年一発目のネタですが、昨年末に遺言の相談を受けましたので、遺言についてです。
このブログでも、財産を持ったら遺言書を作った方がいい、という事を何度か触れてきました。
遺言書を残しておくと、相続人全員の協力を仰がなくても解決することが出来るからです。
ただ、いざ遺言書を作ったはいいが、その保管する場所が実は問題になることがあります。
特に自筆証書遺言の場合です。(公正証書遺言の場合は公証役場に保管されます)
自筆証書遺言は、どこに保管した方がよいのか?
信頼できる人、配偶者、仏壇。大体そんなところかと思います。
一方、自筆証書遺言を保管するために避けたいところはどこかというと、それは貸金庫です!
なぜ貸金庫はダメなのか
貸金庫は、正鍵を使って借主や予め届け出た代理人が使用することができます。借主が死亡した場合は、民法111条により代理権は消滅します。貸金庫契約に基づく権利は、相続人に相続されますが、共同相続人館で準共有となっているため、共同相続人全員でないとその権利を行使することができません。
つまり、貸金庫を開けるのに相続人全員でないといけないわけです。
例えば「妻に全財産を相続させる」という遺言書を作成すると、預貯金や不動産については、相続人全員が署名捺印をする必要はありません。相続人が10人とかいると、このような遺言書は大変有効です。
しかし、遺言書はとても大切、ということで上記の内容の自筆証書遺言を貸金庫に保管しておくと、結局、相続人全員の署名捺印が必要になり、本末転倒になります。
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遺言執行者がいる場合
遺言執行者がいる場合はどうなるか?
遺言執行者は、相続人の代理人です(民法1015条)。不動産登記で遺贈による所有権移転をする場合、遺言執行者が選任されていれば、遺言執行者が登記義務者になり、相続人の手を煩わせる必要はなくなります。
しかし、貸金庫を開ける権限は、原則として遺言執行者にはありません。あくまで貸金庫を開ける権利は相続財産に含まれ、相続発生と同時に相続人の権利となります。それを遺言執行者が有するためには、遺言書に「貸金庫の開閉、金庫内の内容物引渡請求権を付与する」などと記載するなど特段の事情が必要となります(東京地裁判例)。
まとめ
本屋さんなどで、自分でできる遺言書作成キットなどを購入し、誰でも遺言書を作成することができますが、不安に思うところが少しでもあれば、是非、司法書士などの専門家にご相談ください。
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