司法書士の徒然草

愛知県地方在住。司法書士のこととか。いとう司法書士事務所(http://www.itou-legal.com/)

「お金を貸してほしい」とお願いされたらやっておきたい事

司法書士をやっていると、「友人・知人にお金を貸したけど帰ってこない」という相談は良く受けます。
最近もそのような相談を受けましたが、郵送物を送ったら戻ってきてしまい、住民票の写しを請求しても該当者なしで八方塞がりになりました。

よく「お金を貸したら、それはもう上げたものと考えなさい、じゃなければお金を貸すな」と言われます。
そうはいってもお世話になった人等にお願いされたら断れない場合もあるかと思います。

そこで、私ならお金を貸したときこうする!という司法書士の知識を生かした防衛策をお教えします。

ガチガチに防衛するためにやっておきたい事は6つ

どうしてもお金を貸さないといけない場合にやっておきたいことは・・・

1.契約書を作る。
2.契約書に「いつまでに返済する」と返済日を書く。
3.契約書に署名捺印。
4.住民票の写しと本人確認書類のコピーをもらう。
5.お金を渡す時は振込先を聞いて振り込む。現金で受け渡ししない。
6.勤務先をこっそり聞いておく。

・・・とこんな感じです。

1.契約書を作る
 これは言わずもがな、証拠保全のためです。契約書の雛形はネットに落っこちているもので十分かと思います。契約書という文言で借主が引く可能性があるかと思いますが、もう既にお金を貸してしまった場合で、何とか書面を交わしたいときには、「念書」とか「確認書」という文言の書面でも結構です。

2.契約書に「いつまでに返済する」と返済日を書く。
 法律上、返済日を決めないと、「返還時期の定めのない消費貸借」という事になり、いつまでたっても履行遅滞になりません。つまり、「いつになったら払うのさ!」と怒れないということです。この場合は、一回、相当の期間(2週間とか一ヶ月とか)を定めて催告をしなければいけないため、手間が増えます。
 ですので、返済日はきちんと決めておく方がいいかと思います。

3.契約書に署名捺印
 これは「ちゃんとこの内容で借主が約束した」という証拠を残すためです。とくに署名又は押印が大事です。署名又は押印があれば、民事訴訟法228条により、裁判上、真正な文書と推定されます。押印は実印を押してもらい、印鑑証明書をもらえれば、なお良しです。

4.住民票の写しと本人確認書類のコピーをもらう。
 これは借主本人が本当にその人なのかという本人確認と借主の住所・本籍地を確認するためです。以前は運転免許証に本籍地がありましたが、今は表示されなくなってしまいました。
 特にこの住民票の写しは大事です。要するにトンズラ防止のためです。住所・本籍地が分からずにトンズラされてしまうと、郵送物が送れず、裁判をすることもできません。いや出来ることが出来るんですが、費用がかかったり、裁判しても無意味になったりしますので、住所・本籍地を確認しておく必要があるかと思います。
 これが手に入れることが難しい場合は、とにかく現住所を聞き出すことです。「後で契約書を郵送するよ」とかなんとか言って現住所を聞き出し、転送不要で送って到着すれば、住民票の置いてある住所である可能性が高いです。
 少なくとも住所が分かれば、引越しがされても、住民票を動かさず高跳びされない限りは、借主の住民票を取得して現住所を突き止めることができます。
 
5.お金を渡す時は振込先を聞いて振り込む。現金で受け渡ししない。
 これは「お金をいくら貸した」という証拠を残すためです。それと振込先を聞いておけば、その人の良く使う口座を教えてくれることが多いと思います。となると、後々裁判をしたときに、その口座を差し押さえて回収する可能性が高くなります。

6.勤務先をこっそり聞いておく。
 これは後々、給与を差し押さえる事が出来るようにするためです。口座はカラっぽの可能性が高いため差押が空振りになる可能性があります。勤務先ならそうそう変えられることがないため、その点は安心ですし、勤務先に裁判所からの通知が行くことで圧力を加えることができるからです。

以上、”私がガチガチに整えるなら”これはやっておきたいところです。ここまで出来たら苦労しませんよね。はい、すいません・・・。
ただ、ここまで要求すると、返済する意思が弱い人は多分「やっぱ借りるのやめとくわ」となるかもしれませんね^_^; ここまで協力してくれる借主は、多分、ちゃんと返済するかもしれません。

まあ、これは私が独断と偏見で考えたものです。
他にもやっておきたい事は、他人によってはあろうかと思います。その場合は是非教えてください。

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