司法書士の徒然草

愛知県地方在住。司法書士のこととか。いとう司法書士事務所(http://www.itou-legal.com/)

オンライン申請後に取下げた時の還付請求

ちょっと前の不動産登記の先例でこんなんが出されました。

登録免許税の還付金を登記の申請代理人が受領する場合の取扱いについて(お知らせ)〔平成21年6月29日付事務連絡/法務省民事局商事課杉浦補佐官〕

登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について(お知らせとお願い)〔平成26年5月9日付法務省民二第274号〕
登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について(事務連絡)〔平成26年5月9日付法務省民事局民事第二課発信文書〕



これで、過誤納付がなされても、お客さんに負担をかけずに還付ができるので便利だなぁ〜、と思っていたのですが、数ヶ月前にこんなことがありました。

受託した事件は抹消登記のみ。なんのひねりもない普通の抹消登記だったので、お客様から書類を預かり、次の日にオンライン申請をしました。いつもは、乙号事務以外は収入印紙で登録免許税を納付するのですが、抹消だけで間違えるはずはないだろう、と思い電子納付しました。その直後、重大なミスが発覚。

ああー!原因証明情報を添付しわすれた!

登記原因証明情報の添付がなされていないと、却下です。しかし以前、そのまま忘れて添付書類を送ったらスルーされた事がありました。
今回もそうするか?と思いましたが、お客さんは急いでほしいような事を言っていたため、このままで行くと変に長引く可能性もあります。やっぱり取り下げて、添付書類を返送してもらって、再度申請とか…。

これは仕様がないと思い、登記所に連絡して、すぐに取下げ。再度、原因証明情報を添付して、すぐに申請しました。登記は2日後くらいに無事完了。良かった。しかし、ここからが問題。最初に申請した登録免許税は私宛に還付できるんだろうか…?あぁ、収入印紙にしておけばよかった(痛恨)!

というのも、まず平成26年5月9日の先例によれば・・・

不動産登記の申請情報又は商業登記の申請書(以下「申請情報等」という。)に添付した代理人の権限を証する情報又は書面(以下「委任状」という。)に登録免許税の還付金の代理受領に係る権限の記載がある場合は,当該委任状の写しに登記官が認証することにより,これを別記第2号の様式により作成した書面又は当該様式に準じて作成した書面(以下「受領委任状」という。)に代えることができるため,申請人がその取扱いを希望する場合は,その旨登記官に申し出させる。この場合における当該代理受領に係る権限の記載は,「登記に係る登録免許税の還付金を受領すること」であることを確認する。

とあります。今回はオンライン申請後、直ぐに取下げているので、当該申請については登記所には添付書類を送っておらず、「申請情報に添付した代理人の権限を証する情報又は書面に登録免許税の還付金の代理受領に係る権限の記載がある場合は,当該委任状の写しに登記官が認証することにより」という条件を満たすことができません。したがって、私が還付金を受領するには還付請求書に委任状を別途添付する必要があるということになります。

さらに平成21年6月29日の先例にはこうあります。

代理受領申出書面が提出されたときは,登記の申請書及びその添付書類の内容に照らして当該代理受領申出書面の記載内容に誤り等がないかを確認するとともに,添付書類である委任状に押印されている委任者の印影と受領委任状に押印されている委任者の印影が合致するかの照合をするものとする。
なお,オンラインにより登記の申請をした場合であって,その添付情報が電磁的記録で作成されているときは,登記の申請に係る添付情報から委任者の印影を照合することができないので,代理受領申出書面のほか,委任者の印鑑の証明書(市区町村長又は登記官が作成したものであって,代理受領申出書面を提出した日の前3月以内に作成されたものに限る )を提出させた上,当該印鑑の証明書と受領委任状に押印されている委任者の印影とを照合するものとする。

ここで大事なのは、「添付書類である委任状に押印されている委任者の印影と受領委任状に押印されている委任者の印影が合致するかの照合をするものとする。」という点。

先述のとおり、取下げをした申請については、登記所に添付書類は送っていないため、「添付書類である委任状に押印されている委任者の印影と受領委任状に押印されている委任者の印影が合致」できないことになり、厳格に考えると、別途印鑑証明書まで必要になりそうです。

えー、間違いに気が付いて、オンライン申請を取下げたのにぃ…?(泣)

そこで、新しくオンライン申請する前に、「当該申請は受付番号第100号の申請を同日に取下げをしまして、その再申請をしたものです。」と記載して申請し、委任状については送付する前にコピーしておきました。
そして登記が完了した後、還付請求書と代理受領委任状、登記完了証、委任状のコピーを送付して、還付請求しました。

登記完了証には「当該申請は受付番号第100号の申請を同日に取下げをしまして、その再申請をしたものです。」という記載があり、これと委任状のコピーで、「受付第101号の委任状の原本は、受付第100号で申請するはずだった委任状だったんです」と説明するためにと思った苦肉の策でした。

これは登記所に確認していませんので、多分正式な手続きではありません。ありませんが確認すると「ダメ」と言われそうなので、確認せずに還付請求したところ、無事、税金が還付されてきました。

はー良かった。登記所の皆さん、ありがとうございます。

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