ご高齢の方とお仕事をする時、私はひそかに昔話を聞くことを楽しみにしています。
これは、私が以前雇われていたときの話ですが、私は、とにかく業務の効率や利益にうるさい事務所に勤めていました。
その時、ご高齢の依頼者から最近の記帳がなされた預金通帳を頂きたかったので、何度も連絡を入れていたんですが、一向に持参して下さる気配がなく……
冷静にお願いする私
事務所の方針としては、お客さんに指示をして事務所に来てもらうということだったんですが、それでは仕事が進まないこともあり、私も焦っていたので、思い切って通帳の記帳に付き添う事にしました。
「事務所に通帳を持って来てもらうだけで結構ですので、とにかく一度に来てください」とお願いし、事務所に来てもらったのですが、依頼者はのんびり。
それはもう明るいお客さんでした
「○○さん、何度もお願いしてもなかなか記帳してくれないから、今から銀行に一緒に行きましょう！私も一緒に行きますよ」といって、私も銀行へ同行。
私の焦りなんてどこ吹く風
仕事も溜まっていたので、早く終わらせたかったのですが、こればっかりは仕様がありません。
一緒に歩いて何行もの銀行に行くと１時間くらいかかってしまうため、その日は、もう焦るのをあきらめました。
「事務所で怒られてもいいや」と吹っ切って、お客さん一緒にのんびり。
その時、何か面白い話でも聞きたいと思って、何気なく戦争の時の話を聞いてみました。すると・・・
楽しそうに語るお客さん
何でも飛行機乗りを目指して、教官と同乗して試験を受けた時、思いっきりハンドルをあげてしまって急上昇し、教官に思いっきり殴られた話を聞かせてくれました。
「そこで合格していたら、特攻隊に行っていたかもしれんね」
何だか知りませんが、すごい！
戦争を知らない私としては、大変貴重で面白い話でした。
それ以来、ご高齢の方とお仕事をする時には、昔話を聞くようになりました。
これまで、インパール作戦の話を聞いたり、東京大空襲の話を聞かせて頂いたり。
私の祖父母はもう亡くなっているので、こういう話が聞けるのが一つの楽しみとなっています。
おしまい。
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