司法書士の徒然草

愛知県地方在住。司法書士のこととか。いとう司法書士事務所(http://www.itou-legal.com/)

取締役の義務と制限

最近、ちょこちょこと会社設立の相談を受けております。
司法書士としては、会社設立の登記が終わった後は、何かしら登記手続きが必要な場合に、お呼びがかかるくらいで、その後のサポートを積極的に行っている人は少ないかと思います。

私も、「今後こういうことがあったら登記手続きが必要ですよ」という旨の案内は出したりしていますが、もっと企業法務としてサポートするならば、取締役の法的な義務や責任について案内をしても良いのかなぁとも思ったりします。


一般的な取締役の義務や責任で挙げられるのは…

・職務忠実義務(355条)
善管注意義務民法644条)
利益相反取引の禁止(356条・365条)
・競業避止義務(356条・365条)
・任務懈怠責任(430条)

…とこんなところかと思います。

しかし、その他にも…

・設立時の調査義務(46条)
・設立時の不足額填補責任(52条)
・設立時の任務懈怠による損害賠償責任(53条)
・設立時の第三者に対する賠償責任(54条)
・会社不成立の場合の責任(56条)
・株主の権利の行使に関する利益の供与の責任(120条)
・単元株式数の設定の理由説明責任(190条)
・募集株式有利発行の説明責任(199条)
・募集株式の不公正な価額との差額の責任(212条)
・募集株式の不足額填補責任(213条)

…などなど多数にのぼります。もうありすぎて途中で調べるのを止めるくらいです。

これらは、1人オーナーの株主で、その株主が取締役の場合には、あまり関係はないかもしれませんね。自分が自分に対して責任を負うっていうのも変ですから。

しかし、第三者に対する賠償責任はそうではありません。
会社に不法行為があって、取締役に任務懈怠があれば、責任追及される可能性があります。

また、株主が複数いる場合には、会社の所有と経営の分離が働いてきますので、取締役が負う責任や義務は、明確になってきます。

これから会社を経営する人は、簡単な会社法の書籍を読んで、取締役の法的な責任を勉強してはいかがでしょうか?


中小企業のためのビジネス法務

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業界別・場面別 役員が知っておきたい法的責任―役員責任追及訴訟に学ぶ現場対応策

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役員の法律知識がよくわかる! 取締役になったら「初めに」読む本

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