司法書士の徒然草

愛知県地方在住。司法書士のこととか。いとう司法書士事務所(http://www.itou-legal.com/)

婚外子の相続問題と可分債権

法務省民法の一部が改正されました
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html

もう有名すぎる最高裁決定です。不動産登記処理をどう扱うかの先例も昨年出されましたが、以外と語られないのが、相続財産に可分債権があった場合のことです。司法書士試験関係のブログを読んでても見かけないので、あまり重要ではないのかもしれませんが…


まず、前提の問題として、可分債権(金銭の支払請求権のような分割できる債権)については、遺産分割の対象とはなりません。遺産分割手続を経なくても、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継することになるからです。

この判例は昭和29年4月8日の有名すぎる判例で、司法書士試験でも重要です。
cf.http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56093&hanreiKbn=02

さて、今回の最高裁決定では「遅くとも平成13年7月においては違憲であった」と述べられています。なので、平成13年7月1日以降に発生した相続については、何かしら考慮しなければならないところ、旧民法を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない、と判示しています。

この「確定的なものとなった法律関係」というのが何とも分かりにくい・・・。

上記の考えを推し進めるとなると、可分債権は法律上当然に、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継することになるのなら、平成13年7月1日以降の相続について影響を及ぼしいそうです。
しかし、民法の一部改正は「この法律による改正後の第九百条の規定は、平成二十五年九月五日以後に開始した相続について適用する」とあるので、平成13年7月1日まで遡及しません。

そこで、可分債権については、「相続が開始されただけでは「確定的なものとなった法律関係」には当たらない。少なくとも相続人全員が相続分による払戻しを完了した場合には、その可分債権については「確定的なものとなった法律関係」に当たると考えられる」という事になったようです。


このへんの論点は、もう少し時間がたてば整理されてくるかと思いますので、注目して待ちたいと思います。多分、今年の試験には出題されないと思います。

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